2011年秋から2013年春にかけて、海外学振とサバティカルを利用して留学させていただいてました。ありがとうございます。あまりにも有難いので、研究成果以外にも何か世の中に還元できないかと思い、これを始めました。…という大きな目標を持ってはいますが、自分の頭を整理するためと、寂しさを紛らわすために書いてる部分が多いです。ごめんなさい。「その他の話」「セミナー聴講」「英語チラ裏」は、見聞きしたことの備忘録です。

【2016年夏 追記】
ここは僕が北里に勤めていた頃に作ったホームページの名残です。転職してからここのページの更新はしていませんでした。しかし、2016年秋からまた留学(長期出張)させていただけることになったので、それに関してはここに追記したいと思います。上の副題は、壮行会の時にうちのボスが言い放った臨床病理のモットーです。

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 セミナー聴講  

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ビジネス用語  
教員研修会ってのがあった。詳細な内容はおいといて、会の中でいかにも「研修」って感じのビジネス用語が多数出てきて、会社員だった頃を懐かしく思い出した。

・アセット: 資産
・ガバナンス: 統治、というか組織運営の枠組みのこと
・ステークホルダー: 利害関係者。具体的には、株主、顧客、従業員、地域社会など。
・ブランディング: ブランド要素を強化して、競合他社との差別化を図ること。
・プロダクトアウト: 作り手がいいと思うものを作ること。供給力を重視した生産。 
・マーケットイン: 上の対義語で、客が望むものを作ること。ニーズに対応した生産。
・アドレッサブル: 個別に対応 (という意味で使ってた)

グローバルなビジネスパーソンにはマストなタームばかりだね。ユニバーシティのファカルティにはちょっぴりディフィカルト。それにしてもビジネス用語ってなんでこうもカタカナばっかなんだろうか。ビジネスの世界ってのは、よっぽど英語圏が幅を利かせてるんだろうね。まあ研究分野もそうなんだけどさあ。
  • 2013.06.27 Thursday
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5年生文献紹介 
キスペプチン類縁体の慢性投与でテストステロン分泌が抑制される。

Chronic administration of the metastin/kisspeptin analog KISS1-305 or the investigational agent TAK-448 suppresses hypothalamic pituitary gonadal function and depletes plasma testosterone in adult male rats.
Endocrinology. 2012 Nov;153(11):5297-308.

キスペプチンの類縁体を作製した。この薬剤を慢性投与するとGnRHのスーパーアゴニストみたいに、LHが一過性の放出の後に枯渇し、テストステロン分泌が抑制される。この薬剤ではGnRHニューロンのGnRH含量を減らすことから、GnRHの一過性放出→枯渇を引き起こして効いていることが分かる。

・GnRH mRNAに変化はない。ちょっと不思議な気はする。
・GnRHニューロンのキスペプチン反応性に影響はない。
・皮下に投薬なのに、GnRHニューロンに効いちゃう。
 ほんと正中隆起付近ってのはBBBゆるいんだね。
  • 2013.06.17 Monday
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6年生文献紹介 
Targeted pituitary overexpression of pituitary adenylate-cyclase activating polypeptide alters postnatal sexual maturation in male mice.
Endocrinology. 2012 Mar;153(3):1421-34. doi: 10.1210/en.2011-1115.

aGSU-PACAP transgenic mouseの雄では:

下垂体の、
 ・フォリスタチン↑
 ・FSH↓
 ・LH (↓)
 ・GnRH-R↓

精巣重量↓(しかし加齢とともに育つことは育つ)
30日齢の精巣内に成熟精子なし(性成熟遅延)
亀頭-包皮分離 (balano-preputial separation) の遅延

マイクロアレイデータからの気ままな考察

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オスマウスの性成熟のパラメータに、亀頭-包皮分離なんてのを調べる解析法があるんだね。陰茎がムケるようになるのは、野生型マウスで25-29日齢だということである。
  • 2013.05.27 Monday
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6年生文献紹介 
Free fatty acids induce Lhb mRNA but suppress Fshb mRNA in pituitary LβT2 gonadotropes and diet-induced obesity reduces FSH levels in male mice and disrupts the proestrus LH/FSH surge in female mice.
Sharma S, Morinaga H, Hwang V, Fan W, Fernandez MO, Varki N, Olefsky JM, Webster NJ.
Endocrinology. 2013 Mar 22.


下垂体前葉LH産生細胞株であるLβT2を使ってインビトロで調べたところ、遊離脂肪酸のカクテルの添加は、LHbの発現促進とFSHの発現抑制をもたらした。高脂肪食を与え続て太ったマウスは、性周期が止まったり精子形成が悪くなった。このとき、LHサージの抑制と、FSHの分泌の低下がみられた。だからFFAによるFSH発現抑制が関係しているかもしれない。

インビトロのデータとインビボのデータが今ひとつ対応していないし、FFAは飢餓のときも上がるわけだし、なんだかちぐはぐな印象をうけた。インビボ実験は、高脂肪食給与じゃなくてFFA投与とかにはできなかったんだろうか。
  • 2013.05.14 Tuesday
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6年生文献紹介 
ウシ黄体の生死決定
Life or death decisions in the corpus luteum
Pate JL, Johnson-Larson CJ, Ottobre JS.
Reprod Domest Anim. 2012 Aug;47 Suppl 4:297-303.

ウシ性周期黄体が妊娠黄体になるか退行するかを決定する機構についてのミニレビュー+ちょい実験データ。子宮由来のPGF2aによって活性化されて黄体内のTリンパ球などからサイトカインが分泌されて、黄体中のPGF2aが増加して黄体が退行する。それが証拠に、黄体局所にサイトカイン合成を抑制する薬剤を投与すると、黄体の(形態的)退行が約2倍にまで遅れる(P濃度や性周期に変化なし)。

その他)
投与実験やビトロデータなどにおいて、PGF2aやTNFは黄体を退行させるとも機能化するとも報告されててなんだか混乱するけど、こういう矛盾した結果は、生理的用量に基づいて実験していないためである。

ヒツジなどではIFNtが着床因子としてよく知られているけど、ウマではIFNdファミリーがそれにあたる可能性が報告されている。Gene 433 88-99.
  • 2013.05.09 Thursday
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6年生文献紹介 
エストラジオールは排卵前の卵胞におけるPGE2産生に重要である

17β-Estradiol is critical for the preovulatory induction of prostaglandin E(2) synthesis in mice. Toda K, Ono M, Yuhki K, Ushikubi F, Saibara T. Mol Cell Endocrinol. 2012 Oct 15;362(1-2):176-82.

アロマターゼ・ノックアウトマウスはエストロジェンを作れない。こいつにゴナドトロピン(hCG)を注射しても排卵しない。hCGとエストロジェンを注射すれば排卵する。著者らはこれらのときの卵巣中のPGE2産生経路に関わる遺伝子発現を調べ、PGE2産生におけるhCGとエストロジェンの作用を別々に調べることに成功した。

排卵前のhCG投与はアラキドン酸カスケードの主要因子であるCOX2発現を促進することはよく知られているが、今回のデータをもとに考えると、この時のCOX2の発現増加というのはhCGの直接作用によるものではなく、hCG投与により増加するエストロジェンによるものであるようだ。

また他にも、エストロジェンによって発現増加するPGE2受容体や、エストロジェンによって発現減少するPGE2分解酵素の存在が示唆された。
  • 2013.04.30 Tuesday
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339 V科セミナー
第339回獣医学科セミナー(大学院博士課程中間発表)

うちの学科の大学院生は、人数こそ少ないけれども、大変よく練られた実験をされているうえに発表する力もとても優れていて、素晴らしいなあ。未発表データもあったので、内容には触れず、覚えておきたいバックグランドだけ書きとめておくことにする。

播種性血管内凝固(DIC):

膵炎・免疫介在性敗血症・貧血など
→ エンドトキシンやサイトカインの増加
→ 単球の組織因子発現亢進
   /単球の細胞片に含まれるマイクロパーティクルの増加
→ 外因系凝固反応
→ トロンビン活性化
→ トロンビンによる内因系凝固反応の活性化(正のFB)
→ 凝固のさらなる促進
→ 血栓
→ 肺や腎が詰まる/失血死
  • 2013.04.26 Friday
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338 V科セミナー
Novel neuropeptides in the regulation of reproduction.
Dr. Robert P. Millar
Mammal Research Institute, University of Pretoria
MRC Receptor Biology Unit,Univesrity of Cape Town
Centre for Integrative Physiology, University of Edinburgh

この人は Neuroendocrinology のチーフ・エディターでもある。発表は平易な言葉使いで大変分かりやすいものだった。英語を母国語としない人の前で話すことに慣れているのだろう。内容はレビュー的な部分が多かったが、チラチラいれてくる未発表データがシビれるものばかりで圧巻だった。

今回の発表内容は専門分野が近かったため、レビュー的な部分は特に新しく知ったことはなく、未発表部分はここに書き留めるわけにはいかないので、なんも書くことがない。

セミナーの前に個人的にお話しするチャンスを得たので進行中の研究についてお話したら、大変面白がって聞いてくれて嬉しかった。いくつか大変ためになるサジェスチョンをいただいたうえ、試薬もわけてくれるとまで言ってくれた。舞い上がってすぐにお礼メールを書いたが、返事がこない・・・。

と思っていたら返事があった! 感激。「一日500件からメールあるんで、ごめんね。またリマインドしてね」だって。すごいなあ。
  • 2013.04.25 Thursday
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6年生文献紹介 
GnIHはGai系を通ってGnRHのGas/AC/cAMP/PKA経路を抑制する。
http://endo.endojournals.org/content/153/5/2332.long
Gonadotropin-inhibitory hormone inhibits GnRH-induced gonadotropin subunit gene transcriptions by inhibiting AC/cAMP/PKA-dependent ERK pathway in LβT2 cells.
Son YL, Ubuka T, Millar RP, Kanasaki H, Tsutsui K.
Endocrinology. 2012 May;153(5):2332-43.

Gaパスウェイ各因子の阻害剤や促進剤を使って、GnIHがGnRHと拮抗的に作用することをLbT2で示した論文。

マウス生体内ではGnIHタンパク自身がまだ分かっていないので、オルソログのプレプロタンパクの配列から予想される3つの断片をGnIHとして用いた、というのがちょっと粘っこいところ。でもまあ、その3つどれもがだいたい同じくらいGnRH作用の抑制に効いている。GnRH受容体の主経路と考えられるGq/11にはあまり作用しないところもちょっと粘っこい。
  • 2013.04.19 Friday
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6年生文献紹介 
「黄体退行における細胞周期の役割」
http://www.reproduction-online.org/content/145/2/161.long
Role of the cell cycle in regression of the corpus luteum
Susan M Quirk, Robert G Cowan and Rebecca M Harman
Reproduction. 2013 Jan 24;145(2):161-75.

ウシで、発情から12-13日目にPGFを投与し、0、24、48時間後に黄体を取ってきて培養して、細胞たちの種類と、細胞周期と、アポトーシスについてフローサイト等で観察した。PGF投与後、時間経過とともにアポトーシスで死んでいく細胞には、ステロイド産生細胞で、かつ細胞周期の回っている細胞(S期とかG2/M期とか)が多かった。

この細胞は、抑制剤で細胞周期をとめてやるとFasL添加によっても細胞死が誘導されにくくなった。またP4を投与してやっても細胞死が誘導されにくくなった。

以上から、ステロイド産生細胞は黄体退行の際に細胞周期のリエントリーが起きて、これによってアポトーシスしやすくなると考えられる。

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核がヒストンに巻かれていない細胞周期中の細胞の方がアポトーシス決行因子が働きやすい気がするので、現象としてはありそうなことだとは思う。でもそれが黄体退行のアポトーシスの大事な部分を占めているかはぴんと来ない。なぜ/どうやってPGFで細胞周期のリエントリーが起きるかが置いてきぼりだからそう感じたんだと思う。
  • 2013.04.09 Tuesday
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